地図アプリやカーナビをセットすると、行きたいところへ案内してくれます。
とても便利ですよね。
このような機能には、GPSを始めとする衛星測位システムが使われています。
遥か宇宙を飛んでいる衛星からの情報で、地上の位置情報がわかるなんて、ロマンがある技術ですね。
衛星からの信号はアンテナでキャッチされ、受信機に送られます。そのデータを解析して位置が算出されます。
精度の高い測量には、このアンテナや受信機といった測量機器の正確さが大事です。
今回は、このような測量機器の検定に使用する「比較基線場(ひかくきせんば)」のひとつを紹介します。
比較基線場は、国土交通省国土地理院の管理する施設で、つくば霞ヶ浦りんりんロード沿いに国松地区、土浦の高岡地区、そしてつくば市北郷にある地理院構内に設置されています。
どんなところ? 何をするところ?
りんりんロードを北上し、国松まで行って見てきました。
つくば霞ヶ浦りんりんロードってどんなところ?
まずは、比較基線場の施設が置かれている、つくば霞ヶ浦りんりんロードのお話です。
通称りんりんロードは、筑波山や霞ケ浦を中心とした180㎞にも及ぶサイクリング道路で、関東平野の大自然、霞ケ浦の美しい湖面が自転車道沿いに広がるなど、日本を代表する自転車道として「ナショナルサイクルルート」に選出されています。
筑波山麓周辺だと勾配がきつくなりますが、りんりんロード全体は、アップダウンは少なめで、サイクリング初心者にも楽しみやすいようです。
太い街路灯のような円筒形の柱は何だろう?
りんりんロードを、筑波山の方へ向かいます。
青い空に紅葉を終えようとしている山、鮮やかなオレンジ色の柿の実が映え、美しい景色ですね。
筑波山も間近に見えます。
のどかな国松地区の自転車道沿いに、街路灯にしては太いステンレス製の円筒が立っています。
円筒は両腕を回せるくらいの太さで、高さは2mくらい。いったい何に使うものなんでしょうか。
傍に立っている看板に説明がありました。
この円筒はピラーと呼ばれ、「比較基線場」の施設とのことです。
ここ国松のピラーは、No.13という基線場の端点のようですね。
測量機器を検定するために使用
測量機器検定の経験者に、お話を伺ったことがあります。
このピラー上部の白い半球はレドームといい、内側に衛星を受信するアンテナを設置することができます。
ピラーの柱部分のフタを開けると、アンテナに接続する受信機を置く場所があり、電源コンセントもあります。
設置して接続を確認し、衛星データの観測をスタートします。
機器の検定にはここだけではなく、他の2か所の端点も使用します。
りんりんロード沿いには、この国松地区から約11㎞離れた土浦の高岡地区にも同様なピラーが10体、No.1からNo.10の点が設置されています。国土地理院構内にもNo.11と12の2点があり、これらのピラー間の距離は精密に測量されています。
衛星データを解析してそれぞれの位置がわかると、ピラー間の距離が計算できますね。
計算した距離と決まっている距離を比較し、その誤差が基準内であれば、機器の性能を確認できるということです。
精度が保証された機器で行われた測量であれば、位置も距離も信頼できます。私たちが便利に使う地図のナビアプリや、家を建てるときの土地面積算出など、正確な測量はとても大事ですね。
りんりんロードを走り、巨大なアイスクリームのような円筒を見かけたら、街路灯ではなく測量のための国の施設です。
つくばには、科学が身近に感じられる施設がたくさんありますよ。
国土交通省国土地理院 距離標準比較基線場 端点No.13
住所:茨城県つくば市国松 つくば霞ヶ浦りんりんロード沿い
電話番号:029-864-1111(国土地理院代表)
アクセス:つくばエクスプレス線「つくば駅」から車で約30分