地図博士になれる つくば「地図と測量の科学館」

小学生の頃、学校の授業で「5万分の一の地図」や「地図記号」について、習ったと思います。
その「日本地図」を作っている国の機関「国土地理院」がつくば市にあります。
今回は、そんな国土地理院の「地図と測量の科学館」を紹介したいと思います。

球体模型や航空機がある地球ひろば

つくば駅から北方面に車で10分ほど走ると、「国土地理院」があり、併設している「地図と測量の科学館」では、測量と地図に関する展示を行っています。

科学館の隣は「地球ひろば」と呼ばれており、写真のように日本列島の球体模型や測量のための航空機「くにかぜ」があります。

この測量用航空機には、200㎏の航空カメラが搭載されているそうです。険しい山奥など、なかなか人が入れない場所でも正確な地図があるのは、空から写真を撮るという測量法があるからなのですね。
6月の「測量の日」には「くにかぜ」内部が公開されるので、それに合わせて訪れるのもおすすめですよ。

館内には地図記号クイズが

それではさっそく科学館の中を見てみましょう。

入ると右手に「地図記号」あてクイズがありました!

私は、大好きな温泉はすぐにわかりましたよ。
展示室は2階です。曲線の階段がホテルのようにステキなので、思わず写真を撮りました。

日本で最初の地図を作った伊能忠敬

常設展示室には、「測量」「地図」「古地図」についての展示があります。
日本で最初に正確な測量をし、地図を作ったのは江戸時代の伊能忠敬氏ですね。彼の使った測量機材も展示されていました。

江戸時代の知識で、歩測や天体観測などを組み合わせ、17年の歳月をかけて日本の地図を作成したのですから、すばらしいお仕事ですよね。
下の写真は「標石」です。正確な位置の基準となる「三角点」に埋められています。
大事な目印なので、重く丈夫な石なのですね。

進んでいくと、アンティークな地球儀が展示されています。

解説によると、「べハイムの地球儀」とあり、15世紀に作られた世界で最も古い地球儀だそうです。とても昔のものなのに、ヨーロッパやアフリカは現在と近いそうで、その正確さに驚きました。実用だけではなく、装飾品でもあったそうです。

地図を描くための器具の展示

測量の次は、地図を作ることですね。
写真は、地図の製図用器具の展示です。

昔は、このような道具を使い、手でコツコツと描いていたのですね。
解説を読むと、写真右側のインクを使う製図は昭和30年代まで、スクライブ法(スクライブ法とは、合成樹脂に遮光被膜を塗った「スクライブベース」を針で削ることで製図する方法)は昭和の終わりくらい、平成以降はコンピュータマッピングとのことでした。

宇宙からの情報

カーナビのGPSは身近な宇宙の情報利用ですね。衛星からの信号をキャッチして位置を測っています。
写真の「VLBIアンテナ」は、宇宙からの電波を受信し距離を測ります。

2016年までは、32mという大きいVLBIアンテナが国土地理院の敷地にありました。つくばが都会になり、ノイズが増えて正確な電波を受信できなくなったため、運用中止になっています。今は、県内の「石岡市」に後継のVLBIアンテナが設置されています。

手元のスマホでも検索に使える「地図」。
生活になくてはらないものですが、実は多くの科学技術が集結して、奥深い物なのです。
ぜひ次の大型連休には「地図と測量の科学館」に足をのばしてみませんか?
ミュージアムでは、レアな「三角点マグネット」や「地図記号柄のてぬぐい・マスク」が売っていますよ。

地図と測量の科学館
住所:茨城県つくば市北郷1番
交通:つくばエクスプレス「つくば駅」から車で約10分
   つくバス吉沼シャトル(とよさと病院行)約15分
   バス停「国土地理院・つくば警察署」下車
電話番号:029-864-1872
営業時間:9:30ー16:30
休館日:毎週月曜日(祝日の時は順次翌日)、年末年始(12月28日~1月3日)
駐車場:多数
入館料:無料

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。